【コラム】経済「誤」運営で損失 なんと100兆円ナリ(野口悠紀雄) [10/05/10]
1 名前:@@@ハリケーン@@@φ ★[] 投稿日:2010/05/10(月) 22:39:23 ID:???
寿司屋で勘定書きを見たら「お一人様3万円也」とあったとしよう。あなたならどうする
か?
ユダヤ人の大金持ちだと、食べた寿司を一つずつ思い出し、「これはいくらだったのか?」
と聞くそうだ。ところが、日本人はそうしないで払う(10万円なら文句を言うだろうが、
3万円なら言わないだろう)。
日本人は気前がいいと世界中に知れ渡っているので、カモにされている。今は違うだろう
が、しばらく前のイタリアでよく被害に遭った。ミラノ・マルペンサ空港は市街地から遠い。
ホテルでタクシーを頼み、「メーターのある正規のタクシー」と何度念を押しても、白タク
が来る。そして、空港で降りると正規料金の3倍くらいを請求される。日本人は払う人が
多いらしいが、私は腹に据えかねたので、「日本に帰ったら、イタリア大使館にホテル名を
通告する」と頑張って、正規料金にさせたことがある。
脱線してしまったが、何でこんな話を持ち出したのかというと、いま日本は途方もない
勘定書きを突きつけられているからである。つまり、カモにされているわけだ。
いくらかと言えば、100兆円である。
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2010042700202805-1.jpg
「いくら何でもウソでしょう」とお疑いの方は、財務省のホームページで「本邦対外資産
負債残高増減要因」という資料を見ていただきたい。そこにある数字によると、日本の対外
資産は、2008年において、103兆円の為替評価損を被った。他方、負債の為替調整は
15兆円だったので、差し引き88兆円の損失が生じたことになる(図参照)。
これは、08年1年間の損失である。期間を長く取るとどうか?
08年における円ドルレートの変化幅は、年初の109円から年末の90円まで19円で
ある。ところで、07年夏のレート123円程度と現在のレート93円は、30円程度の
差がある。したがって、07年から現在までのネット資産の評価損を単純な比例計算で求
めれば、139兆円になる。購入原価を123円にするのは高すぎるというのなら、115
円としても、評価損は100兆円になる。
正確な数字に議論の余地はあるとしても、この規模の損失が、日本の対外純資産に生じた
ことは間違いない。そして、これが将来の円安で取り戻せる可能性は、ほとんどない(今後
円高が進めば、さらに拡大する)。
■不良債権処理損の10倍の損失
「100兆円の損失」とは、どの程度のものか?
「今回の金融危機では、アメリカの金融機関が無謀な投資を行って甚大な損害を被った」
と言われる。それは、事実そのとおりなのだが、どの程度の損失だろうか?
IMF(国際通貨基金)が昨年の10月に発表した「世界金融安定化報告」(GFSR)
によると、07年から10年の期間においてアメリカの銀行に発生した損失は、約1兆ドル
だ。誠に巨額の損失だが、右で見た日本の対外純資産の損失は、これとほぼ同規模だ。
日本は1990年代後半に金融機関の不良債権に対処するため、公的資金の注入を行った。
投入総額は46・8兆円で、そのうち返済されずに国民負担となった額は、約10兆円で
ある(詳細は、拙著『戦後日本経済史』、新潮選書を参照)。今回の損失はその10倍だ。
以上だけを見ても、今回の評価損が、平時に日本経済が被った空前の大損失であることは
間違いない。
しかも、次の意味で、さらに問題なのだ。金融機関の損失や公的資金の国民負担は、国全体
としての損失ではない。金融機関や納税者が損失を被ったのは事実だが、借金の返済から
免れた人は利益を得ている。これらは相殺するので、国全体のネットの損失は、ずっと小さい。
しかし、今回の対外純資産の損失は、日本国民全体としての損失である。もちろん、世界
全体を見れば、利益を得た国がある。日本の対外資産の大半はアメリカに対するものなので
、利益を受けた国は、アメリカだ。アメリカは、いわば、合法的に債務を逃れたことになる。
今回の事件はしばしば「史上最大のデフォルト」と言われるが、事実そのとおりだと言わ
ざるをえない。「日本がカモだ」とは、このような意味だ。
なお、アメリカに対するもう一つの資産大国中国は、人民元の対ドルレートを08年以降
、1ドル=6・8元に固定しているので、これまでのところ、こうした巨額の評価損は生じて
いない(今後、元の切り上げを行えば、生じる)。
■経済運営の責任を追及すべきだが…
「100兆円の損失」といっても、あまりに大きすぎて実感がわかない。そこで、日本人
1人当たりに直してみると、大略100万円になる。5人世帯なら500万円だ。これは、
暗算でもできる計算だが、あまりに異常な結果なので、もしや間違ってはいまいかと、何度
も検算した。残念ながら、計算は間違っていない。
ただし、これがどういう形で今後の国民生活に影響するのかは、はっきりわからない。
そもそも資産の評価損は、身近で発生しても、なかなか実感できないのである。
たとえば、地価下落で自宅宅地の評価が下がったとしよう。売却すれば損失が生じたと
わかるが、住み続けるかぎり、数千万円の損失でも普通の人は気にしない。寿司屋で10万円
請求されるほうが、よほど損失感が大きい。対外資産評価損は国全体のものなので、さらに
わかりにくいのだ。
しかも、多くの人は、原因について間違った見方をしている。「円高になったのが悪い」
と言う人がいるだろうが、そうではなく、経済法則に逆らう不自然な円安を続けたことが
問題だったのである。とりわけ、巨額のドル買い介入を行ったことが間違いなのだ。
円安が生じた経緯についてこれまで長々と述べてきたのは、それを納得していただきたい
からだ(なお、「ドルで評価すれば損していない」と頑張る人がいるかもしれないが、この
議論を始めると神学論争になる)。
「将来の為替レートは予測できないのだから、結果として損失が生じたとしても仕方が
ない」という意見があるかもしれない。予測できないことは事実である。しかし、そうで
あるからこそ、リスクに応じた適切なリターンを求めるべきだったのだ。
アメリカ国債に異常に偏り、しかも、低利回りで満足していたのは、ファイナンス理論を
少しでも勉強したらすぐにわかる愚かな資産運用だ。日本が低利回りで資金を提供したため
に、アメリカはネットの債務国でありながら、所得収支を黒字にすることができたのである
(詳細は拙著『経済危機のルーツ』第4章を参照)。これほど愚かなカモは、人類の歴史を
探しても見当たらない。
本来なら、責任者を召喚して追及すべきだ。とりわけ、巨額のドル買い介入を行った03
年ごろの政権担当者と円安をあおったジャーナリスト・学者の責任を追及すべきだ。しかし
、残念ながら、そうしたことはできないだろう。損失が巨額でも、将来の経済運営を改善
できるなら授業料としてやむをえない。しかし、そうは期待できないので、天を仰ぐしか
ないのである。
ソース:東洋経済オンライン
http://www.toyokeizai.net/business/column/detail/AC/aa03bb760eaa82298fa12da4025afa8b/page/1/
【関連情報へのリンク】
・本邦対外資産負債残高増減要因
http://www.mof.go.jp/houkoku/20_g1.pdf
- 以上-
5 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/10(月) 22:44:52 ID:R4duC2tQ
> 正確な数字に議論の余地はあるとしても、この規模の損失が、日本の対外純資産に生じた
>ことは間違いない。そして、これが将来の円安で取り戻せる可能性は、ほとんどない(今後
>円高が進めば、さらに拡大する)。
円安で取り戻せないというロジックが分からん
▼ 138 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/12(水) 16:38:32 ID:qiWVUPvw
>>5
に同意だ
ここは釘を刺しておかないと
▼ 140 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/12(水) 18:22:11 id:OpDVmdwX
>>138
ドルが相互のインフレ率・成長率を反映して対円だけで下げるような場合はいいが
単独で通貨発行量を大幅に増やして主立った国際通貨に対して全面的に下げる場合は
円高じゃなくドル切り下げだから一般的な為替変動とは違うってことじゃないの
17 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/10(月) 23:13:11 id:y1LuoRAU
ソビエトが崩壊した時、あちらさんの通貨が大暴落したけどあれを経済運営の成功という事にしないと
成立しないロジックだわな。
さすがにこれ読んで関心する人はいないだろうな。
21 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/10(月) 23:22:48 ID:7Lsmgwsm
>>1
対外純資産を持っていて、貿易黒字を続けている限りは、
為替が円高になるのはどうしようもない問題。
株による損は、株が下がるときには損するが、
上がるときには利益が出るので、長期的に見れば問題ない。
米国債からもっとリターンが大きいであろう新興国などに投資を移すのは大賛成だけど、
果たして米国が許してくれるかどうか・・・。
27 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/11(火) 00:13:22 ID:2ShNsBTc
円安にするために日銀に円札刷らせて
買っただけだろ。
円安になるまで円に替えないんだから
円建てでどんなに評価が落ちても問題なし。
42 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/11(火) 14:53:24 ID:0KN1lqUA
しかし日本が石油買う場合、円高ならその分安く買えるだろ
円高になって得してる面はどう計算してるわけ?
49 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/11(火) 15:51:09 id:SIfRgOso
> しかし、今回の対外純資産の損失は、日本国民全体としての損失である。もちろん、世界
>全体を見れば、利益を得た国がある。日本の対外資産の大半はアメリカに対するものなので
>、利益を受けた国は、アメリカだ。アメリカは、いわば、合法的に債務を逃れたことになる。
これ金額の妥当性は知らんが、自分が言ってたことと同じだな。
国単位で見たとき、金融危機の影響は日本の方がでかくて当然とは見てた。
アメリカに比べれば日本の傷は小さいって言ってたのは、アホかと思ったよ。
っていうか、こいつも今頃言うって遅すぎるだろ。
ただ、自己責任でしかない債権買った時点で負けだったのであって、それに反対しなかった
人間が「日本人は愚かなカモ」という資格は無いと思うが。
52 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/11(火) 15:54:35 id:SIfRgOso
よく、借金して自己破産なんて自業自得だとか思ってるのが居るが、
カネだけもらって返さないんだから、ものすごく徳してるんだよな。
さらに債権化のスキームでカネを移動しやすくして、負債しかない
金融機関潰すってのは、ほとんど詐欺の領域。
56 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/11(火) 15:58:54 ID:3aDst1/7
米国債を償還していけば税収不足をかなり補える。
それで円高になったら札を沢山刷ればいい。
その金を法人税減税にぶっこむ。
当然租税特別処置全廃、
累進課税強化や資産課税など富裕層への課税も強化して。
これで日本復活。
こんなん誰でも思いつくのに
インチキアメ公に億尾になって償還することができない。
63 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/11(火) 16:21:35 ID:wBtkNiy8
米国債買わなかったり、企業が海外収益を円に変えてたらすごい円高になるから
輸出による貿易黒字が無くなるだろ
そしたら米国債購入原資自体が無くなって日本の生産能力がカットされることになると思うが
どっちが得かという損得の判断でそうなってるんだろ?
64 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/11(火) 16:22:50 ID:SIfRgOso
そもそも、日本が稼いだカネはアメリカに還流したほうがモノが良く売れるから良いんだって
どんだけ奴隷体質なんだよ。
中国と競争するために、安い賃金と円安に耐えながら、稼いだカネもアメリカに持ってって、
カネが帰ってこなくなっても、あちらのほうが大変だからとか言ってるって、あり得ない。
この状況で日本だけ回復できないって当然だろ。
▼ 78 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/11(火) 16:53:25 id:P6EGMT4b
>>64
> そもそも、日本が稼いだカネはアメリカに還流したほうがモノが良く売れるから良い