【出版/IT】グーグルブックサーチより危険! 国立国会図書館「蔵書75万冊デジタル化計画」 [10/05/20]

1 名前:@@@ハリケーン@@@φ ★[] 投稿日:2010/05/21(金) 23:10:48 ID:???
村瀬拓男(弁護士)

グーグルのブックスキャン問題については、多くの方がご存知かと思います。インターネッ
トの巨大企業であるグーグルが著者に無断で世界中の本をデジタル化し、それをデータベー
スとして利用しようという試みに対し、世界中の著作権者が著作権をめぐって訴訟を起こし
ました。一方、日本の国会図書館が所蔵データをデジタル化していることはあまり注目され
ていません。これは、一連のグーグル問題と同様に、いや、それ以上に出版の未来を大きく
左右する大問題なのです。

今年1月1日、改正著作権法が施行され、国会図書館は収蔵データの保存のため、著作権
に無許諾で著作物をデジタル化できることになりました。これまでも、マイクロフィルム
の保存のように、収蔵図書を保存のために紙以外の形にすることは合法でした。しかし、
今回の著作権法改正では、紙の蔵書に加え、デジタルを併用することが可能になったわけ
です。文化庁が「デジタル時代に初めて対応した大規模な改正」であると太鼓判を押すよ
うに、国会図書館が掲げた「デジタル図書館構想」は、むしろデジタルを積極的に利用しよ
うというものでした。

そのうえで、国会図書館は今年度、例年予算の約100年分にあたる約127億円を割り当
てられ、所蔵する75万冊のデジタル化に取り組んでいくことになった。自民党政権最後の
大盤振る舞いで得た巨額予算は、昨年11月の民主党事業仕分けの目もくぐり抜けることが
できました。これから国会図書館は、潤沢な予算を背景に、2年がかりで蔵書のスキャンを
行うことになるようです。日本で出版された本がほぼ全てデジタル化される日は近いのです。

これほど大規模なことが、いとも簡単に決まった背景に、グーグルのブックスキャン問題が
あることは間違いありません。遅かれ早かれ、書籍のデジタル化に対応しなくてはいけない
のならば、一民間企業ではなく国の機関がやるべきだという意識を政治家と官僚が共有した
のではないでしょうか。

現在、国会図書館3館(東京本館、関西館、国際子ども図書館)と権利者団体との間では、
デジタルデータの利用について「館内利用にとどめる」ということが合意事項になっています。

ところが、全国各地の公共図書館から、自分たちで所有していない蔵書に関して「国会図書
館のデジタル化されたデータを使用したい」という話が出ています(現在でも資料原本の
取寄せは可能です)。つまり、国会図書館のデジタル書籍のデータベースに地方の公共図書
館がインターネット経由でアクセスしたいという要望です。今後、全国どこの図書館からで
も、国会図書館の蔵書を見ることができるという状況が整備されていくでしょう。

そうなれば、もはや全国の公共図書館は新たに図書を買う必要はなくなってしまうという
ことになりかねません。ある種の専門書の市場というのは、全国の図書館がその本を購入
してくれるという前提で成り立っています。仮に地方の図書館が専門書を購入しなくなった
ら、その専門書市場は崩壊する可能性も出てくるのです。


国会図書館は建前として、「(所蔵データのデジタル化は)保存のため」と説明しています。
しかし、一度デジタル化されてしまったら、その後、「技術的にも利用可能な状況なのに、
なぜその利用を阻害するのか」という(予算を付けた国会、または利用者の)主張に版元が
抗うことは、なかなか難しいのではないでしょうか。

話題の書『フリー』には「デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる」と書いてあります。
その説が正しければ、デジタル化された国会図書館の蔵書は、タダになりたがるわけです。
これが本当にわれわれにとって良いことなのかどうか。真剣に議論しなければなりません。
「安ければ安いほどいい、タダならもっといい」という発想は、かなり危険です。

グーテンベルク活版印刷を発明して以降、新聞も含めた印刷物媒体は、常に経済行為性を
持ちつつ拡大してきました。つまり、紙の媒体はおカネで取引されてきたという意味です。
経済行為であるからこそ専業作家が生まれ、経済行為でもたらされたおカネのお陰で、さま
ざまな創作物が生み出されてきた。印刷物媒体の経済行為を否定することは、文化性や芸術
性の成立を否定することにつながりかねません。

実際に、音楽も映画も含め現在の著作物は、産業構造の中で作品を再生産できる仕組みが
できているわけです。そのことによって、われわれは豊かな環境を享受しています。それを
変えるような変化は、急激に起こってはいけません。

「日本国民の英知の結晶がデジタル化され、すべての日本国民が等しく使えるような環境に
なれば、我が国の知的生産能力が上がる」

このようなテーゼは抽象的にはその通りと言えるでしょう。しかし、実際にモノが生み出さ
れる過程は、営利産業のなかで維持されているわけです。そこを破壊するような政策は、
コンテンツを生み出す土壌を破壊する行為であると考えます。

デジタル図書館構想は、さまざまな影響を及ぼします。たとえば、個人の閲覧履歴は確実に
データベースに蓄積されます。そうなると、かなりの個人データを国が握るということにも
なるのです。


■グーグルが計画する「閲覧権の販売」

ところで、国及び国会図書館が意識したであろうグーグルによるブックスキャン問題は、
いまだ解決の糸口が見えていません。電子書籍がどのように利用されるのかということは、
出版社にとっても非常に大きな問題だと思います。電子書籍における従来のサービスは、
読者が自分のパソコンにデータを取り込む、ダウンロード型(ネット以前であればパッケー
ジ型)と呼ばれるものでした。その場合は、データはクライアント(購読者)のパソコンに
あるわけです。

実は、私は弁護士になる前には新潮社で編集者をしていました。その当時、私はパッケージ
型の電子書籍「新潮社の100冊」やダウンロード型の電子書籍を作っていました。これら
の電子本のデータは、買っていただいた読者のパソコンにダウンロードまたはインストール
され、保存されているわけです。

ところが、パソコンは通常2〜3年に一度買い換えますね。その度に本のデータを新しい
パソコンに移行しなければなりません。これは煩雑な作業です。さらに、再生環境の問題も
あります。電子書籍はデータに対応するビューアソフトがあって初めて再生できる。しかし
、このビューアソフトが新しいパソコンのOSシステムとの相性が悪かったら、本を読む
ことができなくなってしまいます。

紙の本であれば普通に保管していたら10年でも20年でも本棚から出せば読めるでしょう。
ダウンロード型の書籍は、わずか数年で読めなくなってしまう可能性があるわけです。


一方で、グーグルのサービスの骨格はそういったダウンロード型ではなく、いわゆるクラウ
ド型になっています。常にサーバー側にデータを置き、必要なときにインターネット経由で
アクセスして、再生ツールを含めて利用できるという形です。その場合、ユーザーは、パソ
コン環境の進歩を気にする必要はなく、閲覧権が生きている間はグーグルのサーバーにアク
セスをすればいいわけです。つまり、グーグルは本のデータを売るのではなく、データにア
クセスする「閲覧権の販売」をするつもりだと考えられます。

これは、グーグル側がかねてから言っている「クラウドコンピューティング」と親和性が
高いのです。その都度、アクセスすればいいわけですから、手元にデータを置く意味はなく
なるでしょう。グーグルは、自社のサーバーにおいて再生環境に応じた形でデータ送信が
できるよう、メンテナンスをしておけばいい。利用者にとっても、ダウンロード型の場合に
あるリスクを背負わなくていいということになります。

ダウンロード型は、一冊ごとに値段をつけるという発想と馴染みますが、閲覧型は、“パー
ソナルライブラリー”のような売り方ができます。一個人はそのような利用はあまりしない
かもしれませんが、企業や研究機関は自分たちがターゲットにしている範疇の書籍数十万冊
に、いつでもアクセスできる権利を年間いくらで購入するわけです。たとえば、医学書50万
冊の閲覧権を1ヵ月1000ドルでグーグルは売ることになる。そうなると、自社で図書館
を作る必要はなくなります。一番充実したライブラリーをスペース不要で持つことになる
ため、大幅なコストダウンになるでしょう。

大量の蔵書をデジタル化するのはグーグルのような一企業が行うべきか、あるいは国会図書
館のような国が担当するべきか―。これはある意味、究極の選択です。国民的な議論が必要
だと思います。

取材・構成/本山裕記

■村瀬拓男(Takuo Murase)
1962年、大阪府生まれ。新潮社のパーソナル事業部次長を経て、退社。06年に弁護士登録。
おもに知的財産権問題、企業法務一般を扱う

  • 以上-


ソース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100520-00000301-gtwo-sci

関連スレ
【出版/IT】米国のほぼ全社がグーグル(Google)電子書籍承認 印刷本から急速シフト[10/05/10]
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1273456289/



6 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 23:20:42 ID:6NSEZiPM
これ、ホントにどうすんだろね
蔵書数が実質無限になるわけでしょ?


7 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 23:22:57 ID:3wdSbvjv
どんな本でも雑誌でも含まれてるのかな。
いや、オレの見たい本は仮に含まれていたとしても閲覧禁止になるんだろうけど。


▼ 11 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 23:34:15 id:R02dfrvI
>>7

日本国内で頒布を目的として発行された出版物は、原則として、すべて納本の対象となります。
ttp://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit_01request.html

閲覧できるかは別として可能性はあるかもよ


▼ 88 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/22(土) 01:06:46 ID:60siASP9
>>11
自費出版の書籍だろうが、管理コードも付与されない同人誌
本ですら無いDVD、音楽CD、ゲームソフトも受け付けてたと思う

というか、法的には同人誌にも納本義務がある(相当部数発行していれば)

納本しなくていいのは、公表されるとまずい資料(会社の議事録)や、パンフレットのような簡易綴じのもの


18 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/21(金) 23:38:34 ID:l2cggohb
便利になるけれど

新しく専門書などの特に売れまくるって訳じゃない本なんかは

廃れてしまう

しいては本を発行する人が減る

結局知識としての本が減る

って事だろ

なんでもかんでも無料 便利にしたら良いって訳じゃない


▼ 25 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/21(金) 23:43:17 id:YAF8RaJn
>>18
著者保護に対しては賛成だな。
国会図書館、もしくは地方図書館で、アクセスされた回数に従って、著者にお金を払う仕組みを作ればいいんじゃあないのか ?
この仕組みはデータ化された方が課金に関して正確に出せるし。


▼ 91 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/22(土) 01:14:31 ID:60siASP9
>>18
同時貸与数を有限(保有書籍数)と同じにする、
無限に同時に貸し出せるけど、貸出を有償にする
図書館に専用端末置いて、閲覧は図書館で。データ自体は禁帯出にする

とかして著者の著作権を保護したり、利益を還元したりしないと結局著者自体が減っちゃうだろうからな
難しいところ


57 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/22(土) 00:12:25 id:C3YygIC9
確かに専門書の発行は事実上市場が成り立たなくなるだろうね
でもいずれこうなるのは時代の流れだろうと思われるので
グーグルに専門書まですべて抑えられるより国会図書館がやったほうがまし・・・
という消極的賛成だ
これを機に新しく専門電子書籍の利益回収の方法を模索してもらいたい
エンターテイメント系電子書籍ならともかく、読者が極端に限られる専門電子書籍を
利益が出るように回すのは相当難しいと感じているが・・・


28 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/21(金) 23:45:05 ID:yqPzrf8t
この記事、著作権の事書いてないけど著作権法も変えるってことなのか?
現在は著者の死後50年、団体が発行したものは発行後50年が経たないと自由に全てのデーターを
見る事は(コピーすることは)出来ないんだけど。
昭和初期の本でも著者の没年が不明な本などは国立国会図書館でもコピーサービスは受けられない。
まあそうしないと「本を購入する」と言う行為が激減しちゃうからね。
でもどーすんのかね、著作権の問題は。
外圧がかかると日本も法律を変えないといけなくなるのだろうか。
しかしそうなると本を書く人はえらい事になるけど、それでいいのかな。
まあ日本人は紙媒体が好きだから当面は問題ないだろうけど、そのうち大きな問題になるだろうね。


45 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/21(金) 23:59:05 ID:3t8GML/E
デジタル化には大いに賛成。
著作権の問題が出るなら
観覧料を取ればいいだけ
本を貸し出すより効率的に集金できるし
管理も楽になるだろう。

そして国立図書館なででは
重要本として観覧不可の本も貯蔵されていると聞くし
デジタル化になればそういう本も
一般公開される可能性も出てくる。

確かにこれによって痛手を受ける
企業 業種もあるかもしれないけど
このサービスを元にしたサービス産業が生まれそうだし


▼ 66 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/22(土) 00:20:00 ID:pUsyWrhX
>>45
料金取る図書館てなんだよ

閲覧数に応じて国が著作権持ってる人に金わたすしくみでいいじゃん


▼ 69 名前:名刺は切らしておりまして 投稿日:2010/05/22(土) 00:22:32 ID:3wTNA+P7
>>66
今はいいが、今後国屋地方公共団体が財政難に陥った際
著作権料が払えないばかりに図書館が閉鎖されて
本に触れる機会が激減する、ってことが起こりかねない

ぶっちゃけ、今までは有名書籍が大量に公共図書館に、ってのが問題になったが
少数書籍にまで著作権料、ってのはやりすぎかと

まじ、国や公共団体が保存・公開しないと、読むことが困難な部類の内容が出てくる


93 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/05/22(土) 01:31:51 id:ZHFWzgkf
国立国会図書館の蔵書数って2200万冊を超えてるんだよ。
そのうちたった75万冊って、
市中で売られてる本はほとんどデジタル化対象外だろ。


118 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 06:56:38 id:rNngB6NO
これって閲覧回数によって著者&出版社にお金払えばいいだけでしょ?
これまでは出版社や流通にばかりお金が行って、著者(専門家)にわたる金が少なかったんだよね

これがデジタル化されれば、著者(専門家)にお金が行くようになって、
これまで以上に知識がお金になるでしょ
みんな本(というか知識のデータ化)を作るようになるんでないか

今までの著者の取り分が1割というのが異常であったんだよ
著者の取り分を10割とすれば、日本は飛躍的発展を遂げるキリッ


134 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:53:19 id:luvHGRCM
紙媒体の本は内容が検索できないから消える運命にある
もうこの流れは変えられない


▼ 137 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:57:06 id:rNngB6NO
>>134
検索でこれまでの本が引っかかってくれるようになったら最高だね
今ネットにある情報だけでもかなり知識を得られるのにすごいな
これって、コンテンツの有料化システムを促進しそう、というかそのものだね

本をお金払ってPCで見るシステムができたら、専門知識があれば引きこもって生活ができるな



http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1274451048/